製法ごとの特徴

生酒(なまざけ)

火入れ(加熱殺菌)を一切していない酒。

  • 味わい:フレッシュ、ピチピチ、ジューシー
  • 香り:果実香が強く、発酵由来の若い香り
  • 特徴:酵素が生きているため変化が早い
  • 印象:冷蔵必須、鮮度が命の“生きた酒”

生詰(なまづめ)

搾った後は火入れせず、瓶詰め前に一度だけ火入れする。

  • 味わい:生酒のフレッシュさ+軽い安定感
  • 香り:生酒より少し落ち着く
  • 特徴:生のニュアンスを残しつつ保存性を確保
  • 印象:生酒と火入れ酒の中間的ポジション

生貯蔵(なまちょぞう)

搾った後は生のまま貯蔵し、瓶詰め時に火入れする。

  • 味わい:貯蔵で角が取れ、まろやか
  • 香り:生の爽やかさ+熟成の穏やかさ
  • 特徴:生のまま熟成させるため独特の丸み
  • 印象:生酒より落ち着き、火入れ酒より軽快

無濾過(むろか)

濾過を行わず、酒本来の色・旨味を残す。

  • 味わい:濃厚、旨味が強い
  • 香り:米の香りがしっかり
  • 特徴:薄い黄色がかることも
  • 印象:自然でワイルド、味の情報量が多い

無濾過生原酒

濾過なし+火入れなし+加水なしの“最も手を加えていない酒”。

  • 味わい:濃厚・パワフル・爆発的な旨味
  • 香り:華やかで強い
  • 特徴:アルコール度数高め(17〜20度)
  • 印象:日本酒の“原点の力”を感じるヘビー級

原酒(げんしゅ)

加水調整をしていないため度数が高い。

  • 味わい:濃厚、厚みがある
  • 香り:芳醇で力強い
  • 特徴:度数17〜20度
  • 印象:味の芯が太く、飲み応えがある

山廃(やまはい)

乳酸を添加せず、自然の乳酸菌で酒母を育てる。

  • 味わい:濃厚、酸が高く、複雑
  • 香り:ヨーグルト、ナッツ、乳酸系の香り
  • 特徴:旨味が強く、燗に向く
  • 印象:クラシックで重厚、玄人好み

生酛(きもと)

山廃よりさらに古い手法。米をすり潰す「山卸し」を行う。

  • 味わい:力強い、野性味、深いコク
  • 香り:乳酸系+複雑な熟成香
  • 特徴:山廃よりさらに骨太
  • 印象:伝統的で重厚、燗で真価を発揮

直汲み(じかぐみ)

搾った酒をそのまま直に瓶に詰める。

  • 味わい:ガス感が強く、ピチピチ
  • 香り:フレッシュで華やか
  • 特徴:酸が立ち、ジューシー
  • 印象:“生まれたて”の躍動感

中取り(中汲み)

搾りの中盤の最もバランスの良い部分を取る。

  • 味わい:雑味が少なく、きれいで上品
  • 香り:華やかでクリア
  • 特徴:荒走りより落ち着き、責めより雑味が少ない
  • 印象:蔵が最も自信を持つ“美味しい部分”

荒走り(あらばしり)

搾り始めの最初に出てくる部分。

  • 味わい:軽快、瑞々しい、やや荒い
  • 香り:発酵由来の若い香り
  • 特徴:ガス感が残ることが多い
  • 印象:勢いがあり、フレッシュで爽快

責め(せめ)

搾り終盤、圧力をかけて出てくる部分。

  • 味わい:濃厚、渋味・苦味が出やすい
  • 香り:重めで複雑
  • 特徴:雑味が出ることもあるが旨味も強い
  • 印象:力強く、個性的で玄人向け

火入れ一回

通常は二回火入れだが、一回だけ行う。

  • 味わい:生のニュアンスを残しつつ安定
  • 香り:軽いフレッシュ感
  • 特徴:生酒より落ち着き、二回火入れより軽快
  • 印象:生酒の良さと火入れの安定性の“いいとこ取り”

低温熟成

低温でゆっくり熟成させる。

  • 味わい:まろやか、透明感、雑味が少ない
  • 香り:穏やかで上品
  • 特徴:味の角が取れ、滑らか
  • 印象:丁寧で繊細、上質な熟成感

製法ごとの特徴を一言でまとめました。

製法 味わい
生酒 フレッシュでピチピチ、鮮度感が強い
生詰 生の軽快さと火入れの安定性の中間
生貯蔵 生の爽やかさ+熟成のまろやかさ
無濾過 旨味濃厚で自然な味わい
無濾過生原酒 最も濃厚でパワフル、インパクト大
原酒 加水なしで力強く重厚
山廃 乳酸系の酸と複雑味、燗映えする
生酛 野性味と深いコク、伝統的で骨太
直汲み ガス感強めで躍動感がある
中取り(中汲み) 最もバランス良く上品
荒走り 軽快で若々しくやや荒い
責め 濃厚で渋味・苦味が出やすい個性派
火入れ一回 生のニュアンスを残しつつ安定
低温熟成 まろやかで雑味が少なく上質